医学部の小論文、いつから、どうやればいい?
1.2025年度入試の志願状況
医学部の小論文は、知識だけでなく「人間性」や「論理的思考力」、さらには「医師としての適性」を見極めるために課されます。入試においては理系科目が重視されがちですが、医師として活躍するにはコミュニケーション力や倫理観、社会へのまなざしも不可欠です。小論文ではその資質が問われます。
特に「医師にふさわしい人物かどうか」を測るうえで、小論文は有効なツールです。いくら成績が良くても、考え方に偏りがあったり、他者の立場を想像できない人物では医
師として不適格と判断されることもあります。
私立医学部入試では国語の試験を課さないことが多く、国語(現代文)の試験という側面も見られます。埼玉医科大学や兵庫医科大学などが「国語」と言えるような問題を小論文で出題します。
私立医学部では他の大学でも小論文の問題の一部が「国語」という場合がよく見られます。
2.小論文対策、いつから始めるべき?
結論から言えば、「できるだけ早く」です。高校3年の夏以降に始める受験生も多いですが、可能なら高校2年の終わりごろから始めるのが理想です。理由は次の3点です。
・論理的に書く力は一朝一夕では身につかない
・医療や社会問題に対する関心を深めるには時間がかかる
・過去問演習や添削指導の時間を確保したい
早く始めることで、インプット(知識)とアウトプット(表現)の両面からじっくり対策できます。時間があるうちに「書くことに慣れる」ことが最大の武器になります。小論文は暗記でなんとかなるものではありません。何より「書き慣れる」ことが重要です。
少なくとも、高校3年生の早い段階で「小論文とはどういったものか」、「作文とどう違うのか」、は知っておきたいものです。
3.小論文の出題形式とテーマの傾向
医学部の小論文には主に以下の3つの形式があります。
1. 課題文型:ある文章を読んで、それに対する意見を述べる
2. テーマ型:医療・社会・倫理に関するテーマについて自分の考えを書く
3. 資料型:グラフやデータを読み取って意見を述べる
テーマは主に次のようなものが頻出です。
・医療倫理(安楽死、臓器移植、出生前診断など)
・社会問題(少子高齢化、医療格差、AIと医療など)
・医師の使命と責任
・コミュニケーションやチーム医療の重要性
これらは高校の授業だけでは触れにくい分野なので、普段から新聞記事や医療ニュースに目を通しておくとよいでしょう。
4.小論文の基本的な書き方と構成
小論文には「型」があります。基本的な構成は以下の3部構成です。
1. 導入(問題提起):テーマや課題に対する背景説明
2. 本論(自分の意見とその根拠):意見を明確にし、理由や具体例で説得力を持たせる
3. 結論(まとめ・提案):全体を総括し、提案や希望を添える
たとえば「高齢化社会における医師の役割」というテーマであれば、
・導入:高齢化が進み、医療現場には新たな課題が生まれている。
・本論:その中で医師には〇〇が求められる。その理由は~。
・結論:今後はチーム医療と在宅医療の推進が重要になる。
という流れで書くと、読みやすく説得力のある文章になります。
必ず、この流れで書かなければならない、ということはありませんが、この流れに慣れておけば小論文を書きやすいでしょう。
5.何を書けばいい?テーマ別の具体的アプローチ
以下に代表的なテーマごとの考え方のヒントを紹介します。
■ 安楽死について
→ 肯定・否定の立場を明確にし、「本人の意思」「家族の負担」「医師の責任」「法整備の必要性」など多角的に考察。
■ 医療とAIの関係
→ 医師の仕事がAIに取って代わられる可能性(AIの優位性)と、人間にしかできない役割(共感、倫理判断)を整理して主張。
■ 医師のコミュニケーション力
→ 医療事故や患者の不信感の背景にある「説明不足」や「対話の欠如」に着目し、改善策を提案。
併せて医師の「聞く力」について触れるといいでしょう。
どのテーマにも共通するのは、「一方的な主張ではなく、客観的視点を交えること」「医師としての立場を意識すること」です。
6.小論文対策の実践方法
具体的には以下のステップで練習を進めるのが効果的です。
1. 週に1本、テーマを決めて書く
2. 時間を測って60分以内に完成させる
3. 書いたものを他人に読んでもらい、フィードバックを受ける
4. 改善点をもとに同じテーマで書き直す
最初は300字書くだけでも大変ですが、続けていくうちに600字~800字でも書けるようになります。テーマ集や過去問を活用するとよいでしょう。
7.添削は必要?誰に頼むのが効果的?
自分の書いた文章には、意外とミスや論理の飛躍があるものです。そのため第三者の添削は非常に重要です。おすすめの添削相手は以下の通りです。
・予備校の講師(小論文専門)
・国語の得意な先生や先輩
・小論文対策塾・通信講座の添削サービス
特に医学部小論文は「内容」も評価対象になるため、医療知識や医療倫理に詳しい指導者からのフィードバックが望ましいです。
8.まとめ:小論文は「継続」と「本気度」がカギ
小論文は、暗記でなんとかなる科目ではありません。読む力、考える力、書く力のすべてを要するため、地道な継続が必要です。そして何より、医師になりたいという「本気の思い」が文章ににじみ出ることが、合格につながる大きな要素となります。
周りが理系科目に集中している中で、地道に小論文に取り組むあなたは、必ず差をつけられます。1日でも早く、今日から始めてみましょう。